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告  訴  状
令和6年●月●日
三田労働基準監督署長 殿

告訴人  伊藤 理紗  印

告訴人  
〒111-0054
東京都台東区鳥越1-27-8
マストライフ鳥越1003
伊藤 理紗
昭和57年8月18日
090-6306-7017

被告訴人  
道下 剣志郎
三上 佳大
菊水 美佳
〒106-0032
東京都港区六本木1-4-5
アークヒルズサウスタワー4階
SAKURA法律事務所

〒106-0032
東京都港区六本木1-4-5
アークヒルズサウスタワー4階
ASC社会保険労務士法人
代 表  久保 大輔

1.告訴の趣旨
被告訴人の下記所為は、労働基準法第24条違反、同法第37条違反及び同法第39条違反、労働安全衛生法第66条の8の3違反並びに労働安全衛生規則第52条の7の3違反に該当すると思料するので、捜査の上、厳重に処罰されたく告訴する。
 なお、賃金未払いについて、厚生労働省は、未払いの状態が最低賃金額すら支払われていない場合に最低賃金法第4条違反として送検すべしとする通達を過去に出しているが、本件告訴においては、後述●7●の理由により、労働基準法第24条違反として告訴する。

2.告訴事実
 被告訴人道下剣志郎(以下、「被告訴人道下」という)は、東京都港区六本木1-4-5アークヒルズサウスタワー4階において、SAKURA法律事務所(以下、「被告訴人事業所」という)として専門サービス事業をおこなう個人事業主である。被告訴人三上佳大(以下、「被告訴人三上」という)は、被告訴人事業所において全従業員の勤怠管理及び給与支給業務等を担当する経営陣であり、被告訴人菊水美佳(以下、「被告訴人菊水」という)は、同所において、全従業員の勤怠管理、給与計算及び給与支払い業務等を担当する従業員である(以下、被告訴人道下、被告訴人三上、被告訴人菊水の3名をあわせて、「被告訴人SAKURA」という)。
 また、被告訴人ASC社会保険労務士法人(以下、「被告訴人ASC法人」という)は、東京都港区六本木1-4-5アークヒルズサウスタワー4階の被告訴人事業所隣接フロアにおいて専門サービス業をおこなう事業者であり、被告訴人久保大輔(以下、「被告訴人久保」という)は同事業所の●●●である。

被告訴人らは、告訴人に対し、
(1)賃金の未払い
 令和5年5月(以下、特に記載のない場合は令和5年の日付とする)労働分賃金のうち8万4千円を、6月労働分賃金のうち18万9867円を、7月労働分賃金のうち8万9401円を、それぞれ所定支払日である翌月25日に支払わなかった。

(2)時間外、休日及び深夜の割増賃金の未払い
 上述2.(1)に記載の期間中、時間外労働、休日出勤及び深夜勤務が発生していたにもかかわらず、法定の割増率により算出した金額の手当12万1835円を、それぞれ所定支払日である翌月25日に支払わなかった。

(3)年次有給休暇の未払い
 本書2.(1)に記載の期間中、告訴人は6月から7月にかけて複数回年次有給休暇を取得したにもかかわらず、それらの全額7万3528円を、それぞれ所定支払日である翌月25日に支払わなかった。

(4)労働状況の把握の放棄
 本書2.(1)に記載の期間中、被告訴人らは、業務上の理由により生じた疾病を原因とした、告訴人の在宅における労働時間の状況を把握する義務を放棄した。

3.告訴事実の詳細および経緯
(1)告訴人の就業場所及び労働条件
 告訴人は、令和4年9月21日から東京都中央区新富1-1-7BizSQUARE GINZA3階において、4月●日から被告訴人事業所において、法律事務業務に従事していた。
 労働条件は、次のとおりであった。
 基本給:月給21万円
 支払日:月末締め翌月25日払い(銀行振込)

 ただし、告訴人は、令和4年11月頃より被告訴人事業所に勤務する弁護士によるセクシュアル・ハラスメント被害を、また2月頃より被告訴人道下によるパワーハラスメント被害を受け、失語、不眠、不安等の抑うつ症状による体調不良が生じ(疎明資料●)、被告訴人事業所への出勤が困難であったことから、被告訴人道下及び被告訴人三上を含む経営陣らから許可を受けた上で、在宅による勤務を行っていた(疎明資料●)。

(2)勤怠管理の把握の放棄と賃金の未払い
 告訴人は、被告訴人事業所への入所当時より、出勤勤務または在宅勤務にかかわらず、被告訴人事業所指定のクラウド型勤怠管理システムfreee(以下、「freee勤怠」という)を利用して勤務報告を行っていた。一方、被告訴人事業所は、被告訴人事業所に設置されたiPadを従業員が直接操作することで勤怠管理を行う勤怠管理アプリHRMOS(以下、「打刻システム」という)へ勤怠管理システムを移行させることを目的として、●月●日より、freee勤怠と打刻システムが平行して運用していた。
 しかし、5月22日、被告人への一切の通知なく、freee勤怠への告訴人の入力権限が停止され、告訴人の在宅勤務に関する勤怠報告が不可能となった。当時、freee勤怠のシステム設定に関し、被告訴人三上が管理全般を、被告訴人菊水が一部管理を行っていたことから、告訴人は、被告訴人事業所事務局を通じ、被告訴人三上及び被告訴人菊水に対して急ぎ問い合わせを出すと同時に、急遽、独自に勤怠管理アプリを入手し同人らからの回答を待ったが、回答は一切なかった。
 告訴人は、致し方なく、●月●日、被告訴人SAKURAらに対し、独自に入手した勤怠管理アプリのスクリーンショットを、コミュニケーションアプリLINE(以下、「LINE」という)及び被告訴人事業所内メール(以下、「メール」という)にて送信することで勤怠状報告をおこなったが、誰一人からも返信はなかった(疎明資料●)。
 また、freee勤怠に関する告訴人の入力権限が削除された5月22日から、告訴人の給与が支給されなくなった。

(3)時間外、休日及び深夜の割増賃金の未払い
 告訴人は、採用当初より時間外勤務が、令和4年11月より休日及び深夜勤務が発生し、労働時間の実態に応じた各種割増賃金が支給されていたが、5月22日勤務分より、基本給とともに支給されなくなった。

(4)年次有給休暇の未払い
 告訴人は、6月から7月にかけて●月●日、●月●日、●月●日、●月●日の●回年次有給休暇を取得し、被告訴人事業所より配布された給与明細にも年次有給休暇取得の旨が明記されたが、当該年次有給休暇相当の給与は支給されなかった。

(5)賃金等未払いの恒常性
 結果、告訴人が自身の生活を維持できなくなり、被告訴人事業所を退職する7月31日まで、告訴人の賃金については、本来支給されるべき勤務の実態に満たない金額の給与しか支給されない状態が継続した。

(6)三田労働基準監督署の介在等
 このため告訴人は、●月●日付、三田労働基準監督署に相談をおこない、未払賃金等について被告訴人らへメール等で請求するなどについて教示を受けた上で、被告訴人SAKURAに対し、算出根拠を示す計算式を記載したExcelファイルを添付したメールを送信する等して、本来支給されるべき賃金との差額の支払いを求める請求を複数回おこなった。

(7)被告訴人道下による対応
 しかしながら、被告訴人SAKURAは、告訴人の請求に対する支払いまたは回答を行わなかった。
 7月12日、被告訴人道下は、告訴人に対し、初めて、「事業所へ出勤して打刻されたもの以外の身勝手な勤怠報告を勤怠実績として認めない」「当事務所は、貴殿に対して、在宅勤務をおこなったり、休日出勤をおこなうように命じたことは一度もない」旨の発言を行い(疎明資料●)、勤務実態に関わらず、賃金支給額は被告訴人らが決定する意向が示された。
 ただし、休日勤務に関しては令和4年●月●日に、在宅勤務に関しては翌年3月●日にLINE上で、被告訴人道下自身が、告訴人の休日勤務および在宅勤務を認めている(疎明資料●)。
 また、通知人は、被告訴人道下に対し、勤務実態があるにもかかわらず給与の支払いを拒む場合の法律上の根拠を示すよう幾度となく求めた(疎明資料●)が、被告訴人道下を含めた被告訴人らからの回答はなかった。

(8)被告訴人三上の関与
 被告訴人三上は、被告訴人事業所における経営陣の立場にあり、告訴人の入所当時より、勤怠管理業務及び給与支払業務に深く携わっていた。
 5月23日、告訴人が被告訴人三上に対し、グループLINEによりfreee勤怠管理システムに関し問いかけたものの、被告訴人三上のみ既読がつかず、令和6年●月●日本日現在まで無視を続けている(疎明資料●)。また、告訴人と被告訴人三上による個人LINEでは、6月6日、告訴人が勤怠管理アプリのスクリーンショットを送信し、被告訴人三上へ直接勤怠報告をおこなって以降、告訴人から被告訴人三上への個人LINEのメッセージは、グループLINE同様、すべて既読がつかず、令和●月●日本日現在まで無視されている(疎明資料●)。
 これらは、被告訴人三上が、勤怠管理業務及び給与支払業務に深く携わりながら、告訴人の勤怠管理や給与等の不払いを含めた告訴人との意思疎通を放棄したことを明示したものである。

(9)被告訴人菊水の関与
 告訴人の入所当時から5月18日まで、被告訴人事業所における従業員への給与支給業務に関しては訴外従業員が携わっており、その間、告訴人を含めた従業員に対する給与等の不払いが生じたことはなかった。しかし、5月末日をもって左記従業員の退職が決定したことに伴い、5月19日より、給与支給業務の担当が被告訴人菊水へ変更となり、5月22日、告訴人の給与等の不払いが開始された。
 告訴人に対する給与等の不払いが、給与支給業務の担当者が被告訴人菊水への変更と同時に発生していることは、告訴人の給与明細をみても明らかであり、告訴人の給与等の不払いに関し、被告訴人菊水が強く関与していたことは明白である。

(10)被告訴人ASCの関与

(11)関連事実
 告訴人が、令和4年9月22日に被告訴人事業所へ入所した当初、同事業所は、業務連絡ツールとしてLINEを用い、Googleドライブに各種業務データを保存するなど、オンラインツールを多用した事業所であった。
 告訴人は、同年11月頃より被告訴人事業所に所属する弁護士からセクシャル・ハラスメント被害を受け、1月、代表弁護士である被告訴人道下へ相談した。しかし、被告訴人道下は、セクシャル・ハラスメント被害を隠蔽し、告訴人に対しパワー・ハラスメントを行うようになり、2月6日には、経営陣と事務局員で構成されたグループLINEから告訴人のみを追い出し、訴外従業員に対して電話で「伊藤と話すな」と指示をする等の暴挙をおこなうようになった。
 ●月頃、被告訴人道下の意向により、LINEからビジネス版LINE「LINE WORKS」(以下、「WORKS」という)へ業務連絡ツールが移行され、WORKSによって全ての業務連絡が行われていた。しかし、●月●日、被告訴人道下は、突然、告訴人のWORKSアカウントを削除した上で、WORKSを用いない連絡はルール違反であると被告訴人事業所内に周知して告訴人を孤立させ、告訴人と他所員の繋がりを断たせようとするとともに、告訴人に対し、休業するよう指示しながら、ノーワークノーペイなので給与は支払わないと発言した。
 また、●月●日、被告訴人道下は、被告訴人事業所で受任している案件データの保存先である被告訴人道下のGoogleドライブに関して、告訴人の閲覧権限を削除し、各種案件に関与していた告訴人の業務遂行は著しく妨害され困難となった。
 さらに、被告訴人道下から告訴人に対し、●月●日、約40分に渡る退職勧奨、●月●日、事実と著しく異なる内容に関する始末書提出の度重なる強要、被告訴人事業所共有のGoogleドライブデータに関する閲覧権限や空調機入電権限等の削除が続いた。左記を原因として、告訴人は、熱中症や著しい体調不良、精神不調をきたし、出勤及び業務遂行に激しく支障が出るようになった。

4.対象となる未払額について
 対象となる未払い額は以下のとおり。
(1)所定賃金
① 基本給
5月労働分賃金21万円のうち8万4千円
6月労働分賃金21万円のうち18万9867円
7月労働分賃金21万円のうち8万9401円

(2)時間外、休日及び深夜の割増賃金
② 時間外労働手当単価(21万円÷160時間×1.25≒1641円)
5月労働分賃金×15時間24分=2万395円
6月労働分賃金×23時間57分=3万9302円
7月労働分賃金×16時間34分=2万7186円

③ 休日労働手当単価(21万円÷160時間×1.35≒1773円)
5月労働分賃金×4時間18分=7624円
6月労働分賃金×13時間35分=2万4083円
7月労働分賃金×1時間30分=2538円

④ 深夜労働手当単価(21万円÷160時間×1.50-1,641≒329円)
5月労働分賃金×7分=38円
6月労働分賃金×1時間44分=570円
7月労働分賃金×18分=99円

(3)年次有給休暇
⑤ 年次有給休暇手当(21万円÷160時間×8時間≒1万504円)
6月取得分×3日分=3万1512円
7月取得分×4日分=4万2016円

① + ② + ③ + ④ + ⑤ の合計55万8631円

5.犯罪性について
(1)労働基準法第24条違反について
① 構成要件該当性について
 前述3、4のとおり、被告訴人らは、告訴人の5月労働分賃金のうち8万4千円を、6月労働分賃金のうち18万9867円を、7月労働分賃金のうち8万9401円を、それぞれ所定支払日である翌月25日に支払わなかったものであることから、被告訴人らの行為は、労働基準法第24条違反の構成要件に該当するものである。

② 違法性について
 前述5(1)①のとおり、労働基準法第24条違反の構成要件に該当することから違法性の推定がなされることに加え、告訴人においては、本来であれば支給されるべき合計36万3268円を支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められることから、被告訴人らの行為には可罰的な違法性が認められるものである。

③ 有責性について
 被告訴人事業所において、給与等の不払いが生じたのは告訴人1名のみである。被告訴人らは、前述3.(7)に記載のとおり、勤務の実態の有無に関わらず、自分たちの判断で「認めない」旨を明言している。また、被告訴人事業所の過失により体調を崩し在宅勤務にて対応せざるを得ない被告人の状態を知りながら、被告人の状態を一切考慮せず、被告人には勤怠報告が不可能な方法へ勤怠管理システムを変更したものであり、被告人らの意図的な賃金未払いの作為が窺える。
本件未払いは、告訴人の勤務実態の存在を認識しながら告訴人に給与等を払うまいとする被告訴人らの意図により発生したものであり、所定の賃金を支払うことは十分可能であったにもかかわらず、被告訴人らは敢えて所定の賃金を支払わなかったものであり、その責任は重大である。

④ 法益侵害性について
 被告訴人らの違法行為により、告訴人においては、本来であれば支給されるべき合計36万3268円を支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められる。

以上から、被告訴人らの行為は、労働基準法第24条違反の犯罪構成要件に該当する、違法且つ有責な行為であり、法益侵害性も認められることから、刑法上の犯罪行為であることは明白である。

(2)労働基準法第37条違反について
① 構成要件該当性について
 前述3、4のとおり、告訴人は、2.(1)に記載の期間中、時間外、休日及び深夜勤務を行っていたにも関わらず、被告訴人らは、告訴人に対し、当該法定割増賃金をそれぞれ所定支払日である翌月25日に支払っていなかったことから、被告訴人らの行為は、労働基準法第37条違反の構成要件に該当するものである。

② 違法性について
 前述5(2)①のとおり、労働基準法第37条違反の構成要件に該当することから違法性の推定がなされることに加え、告訴人においては、本来であれば支給されるべき手当12万1835円が支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められることから、被告訴人の行為には可罰的な違法性が認められるものである。

③ 有責性について
 被告訴人事業所において、給与等の不払いが生じたのは告訴人1名のみである。被告訴人らは、前述3.(7)に記載のとおり、勤務の実態の有無に関わらず、自分たちの判断で「認めない」旨を明言している。また、被告訴人事業所の過失により体調を崩し在宅勤務にて対応せざるを得ない被告人の状態を知りながら、被告人の状態を一切考慮せず、被告人には勤怠報告が不可能な方法へ勤怠管理システムを変更したものであり、被告人らの意図的な賃金未払いの作為が窺える。
本件未払いは、告訴人の勤務実態の存在を認識しながら告訴人に給与等を払うまいとする被告訴人らの意図により発生したものであり、所定の賃金を支払うことは十分可能であったにもかかわらず、被告訴人らは敢えて所定の賃金を支払わなかったものであり、その責任は重大である。

④ 法益侵害性について
被告訴人の違法行為により、告訴人においては、本来であれば支給されるべき手当12万1835円が支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められる。

 以上から、被告訴人らの行為は、労働基準法第37条違反の犯罪構成要件に該当する、違法且つ有責な行為であり、法益侵害性も認められることから、刑法上の犯罪行為であることは明白である。

(3)労働基準法第39条違反について
① 構成要件該当性について
 前述3、4のとおり、告訴人は、2.(1)に記載の期間中、年次有給休暇を取得していたにも関わらず、被告訴人らは、告訴人に対し、当該賃金をそれぞれ所定支払日である翌月25日に支払っていなかったことから、被告訴人らの行為は、労働基準法第39条違反の構成要件に該当するものである。

② 違法性について
 前述5(3)①のとおり、労働基準法第39条違反の構成要件に該当することから違法性の推定がなされることに加え、告訴人においては、本来であれば支給されるべき年次有給休暇7万3528円が支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められることから、被告訴人の行為には可罰的な違法性が認められるものである。

③ 有責性について
 被告訴人事業所において、給与等の不払いが生じたのは告訴人1名のみである。被告訴人らは、前述3.(7)に記載のとおり、勤務の実態の有無に関わらず、自分たちの判断で「認めない」旨を明言している。また、被告訴人事業所の過失により体調を崩し在宅勤務にて対応せざるを得ない被告人の状態を知りながら、被告人の状態を一切考慮せず、被告人には勤怠報告が不可能な方法へ勤怠管理システムを変更したものであり、被告人らの意図的な賃金未払いの作為が窺える。
本件未払いは、告訴人の勤務実態の存在を認識しながら告訴人に給与等を払うまいとする被告訴人らの意図により発生したものであり、所定の賃金を支払うことは十分可能であったにもかかわらず、被告訴人らは敢えて所定の賃金を支払わなかったものであり、その責任は重大である。

④ 法益侵害性について
被告訴人の違法行為により、告訴人においては、本来であれば支給されるべき年次有給休暇手当7万3528円が支給されず、労働契約の根幹をなす「賃金」の支払いが履行されないという労働者への著しい損害が発生しており、重大な法益侵害が認められる。

 以上から、被告訴人らの行為は、労働基準法第39条違反の犯罪構成要件に該当する、違法且つ有責な行為であり、法益侵害性も認められることから、刑法上の犯罪行為であることは明白である。

6.被告訴人らの悪質性について
 被告訴人らは、業務上の理由により疾病状態にある告訴人への配慮を行わず、被告訴人事業所の代表弁護士である被告訴人道下自身が認めた告訴人の在宅勤務を覆し、告訴人に対し、告訴人の勤務実態の存在を認識しながらも、勤務の実態があるにもかかわらず給与支払いを拒む理由を明示さないまま給与等の不払いを生じさせる等、法律事務所でありながら遵法意識が欠落し、安全配慮義務への取り組みの姿勢も見受けられない。また、告訴人に対し一部支給された給与計算に誤りがある上、誤りを指摘しても対応しない姿勢から、被告訴人らに反省する意図のない様子が見てとれる。
給与支払い業務に関しては、被告訴人ら及び被告訴人及び被告訴人ASC事業所等、複数名の関与がありながら誰一人も違法性の指摘を行わず、告訴人の退職まで不払いが続いた事実からは、今後も法を顧みない杜撰な労務管理が繰り返される危険性が認められる。
 本件を放置することは、今後も類似の犯行が重ねられ、多くの被害者を排出するものと考えられる。
 よって、本件については、厳重な処分を求めて告訴するものである。

7.本件告訴の根拠条文について
 本件事案の労働分賃金については、支払うべき賃金を最低賃金額分も含めて支払っていないものであるが、前述1「告訴の趣旨」でも述べたとおり、本件告訴については最低賃金法第4条違反ではなく、労働基準法第24条違反として告訴するものである。
 理由は、
(1)最低賃金法第4条の趣旨
 本来、最低賃金法第4条の趣旨は、「約定賃金単価が最低賃金を下回る雇用契約を締結することを禁止することで、労働力の安売りを防止する」というものであり、同法同条違反の成立には、あくまで「約定賃金単価が最低賃金を下回っていること」が構成要件とされるものと解されること

(2)東京地方検察庁検事、司法研修所教官の見解
 東京地方検察庁検事、司法研修所教官の見解としても、「約定賃金が最低賃金額を上回っているかぎり、たとえ賃金不払いの結果として最低賃金額が支払われていない状態であったとしても、最低賃金法違反とはならない」旨の見解が示されていること(法務研究報告書第71集第6号第10章第3節第1)

(3)労働基準法第24条違反
 それにもかかわらず、厚生労働省が法の趣旨に反した通達を全国の労働基準監督署に発信したことにより、本来なら労働基準法第24条違反として送致あるいは送附されるべき事案が最低賃金法第4条違反として送検される事態となり、全国の地方検察庁において多大な混乱を生じさせ、結果、起訴率が激減したことから、本件賃金不払い事案を最低賃金法違反として告訴した場合には適切な処罰が見込めないためである。
 そして、本件の被害者である告訴人が被告訴人に求めたものは、「最低賃金額の金員」ではなく、「本来約束された賃金単価により計算された賃金額」であり、これについて告訴人は「最低賃金額すら支払っていないこと」について処罰を求めるものではなく、「所定の約定賃金を支払っていないこと」について処罰を求めるものである。

 以上のとおり、本件賃金不払については、あくまで労働基準法第24条違反として告訴するものである。
以上

●●●●●●●●●

証拠資料【注11】
1.給与明細
2.通帳の写し
3.本来支払われるべき賃金
4.被告訴人への支払い請求
5.労働実態の証明
告訴人の陳述書

添付書類【注12】
1.証拠資料写し 各1通
2.委任状 1通
     
 
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