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 幸か不幸か、店にいる時間が異常に長い状況で新人を数人採用したため、すべての研修を自分でやることになっております。それであらためて思い出したのは、俺は人を育てるにあたって、異常なくらい気が長いということですね。コンビニみたいな業種で、一人前にするまで2ヶ月かかるとかいってるオーナーはたぶん俺くらいだと思います。俺にいわせればどう考えてもそれくらいかかるんですけど。まあ時間かければかけるほど、自分の時間を削りますからね……。最終的にはいま苦労するのか、あとで苦労するのかの違いだと思いますけど。
 あーこのへん最近書いてないし、参考になる人もいるかもしれないからちゃんと書いてみるか。俺、自分がいまやってる業務についてしか基本的に書く気にならないので。

 まず俺が人を育てるときの基本的な心がまえなんですが、そもそも俺は「金払ってるんだから働け」と考えておりません。「働いてもらってるんだから、金を払う」というのが基本的な思考です。さらに「いくら金は払ってるとはいえ、それだけじゃ申し訳ないなあ」と常々考えております。じゃあ仕事を通じて金以外に渡せるものはなにかといったら、仕事上のスキルしかない。
 幸いにして当店は、地区ではそこそこ名の売れた店です。うちでバイトしててやめた人間が他店で不採用になったという話を聞いたことがないです。ある意味「俺がやってる店で働いてた」ということ自体が価値を生む状況になっています。
 しかし実力がともなわなければ、苦労するのは当人です。なので、コンビニのバイトとしてどの店でもやっていけるスキルを与えたい。金以外に財産となるものがあるとしたらこれだろう。
 そう考えるので、しぜん教育はかなり丁寧になります。
 また、座学がやたら多いのも俺の教育の特徴だと思います。正直、いまのシフト状況だと「座って教える」という時間をとること自体が極めて難しい。まあ人件費の問題もありますしね。それでも俺はかなり無理してこれをやります。
 ひとつには「なぜそれをやるのか」ということを説明するためです。他店からすれば頭おかしいらしいんですが、レジの前に座学1時間、フェースアップの前に座学1時間、廃棄のチェックを教えるためだけに座学30分。たいていこんなような感じです。すべての仕事には「現在あるようなかたちになった」理由があるので、それを説明しないでやってもらったって納得しないでしょ、ということです。
 また、座学をやるってのは「会話する時間」を作るということでもあります。これによって、相手に自分の思想を注入することができる。
 もちろん、一方的に話せばいいというものじゃないです。俺は「相手がどんなことを考えているのか」「どういう思想を持っているのか」「どういうキャラなのか」ということを、かなり極端に重視します。
 なんていうんだろ、教えるって一言では表現できないものがあるんですけど、ひとつには「相手がなにをわからないか理解する」能力が必要。あとはですね「やってもらいたい仕事と相手の考えのマッチング」みたいなのをかなり重視します。
 たとえばフェースアップやってもらいたいとするじゃないですか。そのときに真っ先に俺がする説明って「これはサボりじゃない」ということです。やってることは単純でも、非常に重要な仕事なんだ、ということをまず説明する。「なぜなら」フェースアップの有無で売上が左右されるから。さらに「俺は」信念を持ってフェースアップをやる。そしてこの店は俺の店だから、残念ながら、フェースアップをやらないという選択肢はない。
 で、相手がものをきっちりと並べないと気が済まない人間なのか、どうでもいい人間なのかをできる限り見ぬく。それに応じて説明のしかたを変えます。興味なさそうだなと思ったら「悪い。諦めろ」です。興味がありそうだったら「フェースアップの神にしてやる」です。
 そんで、実際にやらせてみた結果、本人がいやがってないようだったら可能な限り、その方面の仕事はやらせる。いやがってるようだったら「義務なんだから、とりあえず合格点までやっとけ」ということで、具体的な合格基準を示す。そのときに「フェースアップがいやだし苦手なんだから、ほかのところで得点を稼げ」というふうに伝えます。
 どっちにしろ、このへんの流れでは「相手がどういう人間なのか」を見抜く目が必要となります。この見抜く目なんですが、俺の手法としては以下のとおりです。
 まず本人の見た感じから「こんなキャラ」というのをだいたい推測します。そのうえで本人に自分のキャラを語らせる。それが合致していたらそのまま受け入れるし、齟齬があれば「その人にとって都合がよさそう」なやりかたで「こういうキャラに見える」と伝えます。これ、本人のいうことを利用している点で、おそらくコールドリーディングに近い手法使ってると思います。
 要はですね「理解された」「この人はわかってくれる」という感覚をちょっとでも与えればいい。わからないまでも「わかろうと努力してくれている」と思わせれば儲けものです。そしてこれがないと、こちらの言うことも相手は理解しようとはしてくれないです。

 んで、説明の基本形が「悪いんだが、俺の理想を実現するために協力してくれ」という感じです。「そのためには君のことを知らなければならない」とつながる。君のやりたいことではないかもしれないが、協力してくれれば最高の店を実現してみせる。絶対どこにも負けない。その強い店で働いてるってことは、どこに行っても通用するってこと。おもしろいことをやってるんだと理解してほしい。もしあわなきゃそのときはしょうがないから、ほかのバイト探せ。別にクビとかそんなんじゃなく、相性が悪いとこにいたってしょうがないし、この世には働く場所はほかにもある。
 まあだいたいこんな論法です。
 こう考えてみると、俺の教育のベースにあるのは、実績と圧倒的な自信ということになります。それと、基本形があれですね。「おまえのことを幸せにしてやるからついてこい」です。おそらくなんですけど、うちで女子のバイトが残りやすいのって、この論法がわりと通じやすいからだと思います。
 でも、だからこそ実績はどんな汚い手を使ってでも出さなきゃいけない。俺が数字にこだわるのは、それがだれの目にも明白な実績だからです。

 人の教育が難しいなあと思うのは、結局は指導する人のキャラってのが重要になるからなんですよ。全員に通用するやりかたって実はない。あるにはありますけど、その場合、自分のほうを捻じ曲げきゃなりません。よくあるようなリーダー論とか教育方法とかですよね。俺が常々ああいうものに対して警戒心を持っているのは、あれが「期待されるリーダー像」をあらかじめ設定している点です。
 まあ、長年にわたって効率のいいやりかたを探っていれば、ああいうものに近いやりかたになるのは否定できません。だって効率いいもん。けど、効率のよさって「そのやりかたを導入するだけで効率よくなる」っていうのもありますけど、こと人を指導する立場となると、それだけじゃだめなんですよ。人は、とってくっつけたようなセリフを「嘘」と判断します。嘘ついたら信用されませんわね。特にいまの若い子は、空気の読み合いのなかで成長しているせいか、そういうものに非常に鋭敏です。また、目に見えるわかりやすい理想とかが成立しづらい時代であるせいなのか、借り物の理想や正義を「建前」と判断する傾向が強いです。
 けど「キャラ」となると別なんですな。俺はいつでも「その時代の若者」を効率よく使っていい店を作るために動いてるんですが、いまの時代では「キャラ」が非常に有効だと思ってます。そしてその「キャラ」というのはどうやって成立したかというと、自分の持っている個性のうち社会で遊泳しやすいタイプのものを強化したものです。つまり商品価値があるってことです。
 俺のオーナーとしてのキャラのうち、使い勝手がいいものは「他店には負けたくねえ」「趣味でコンビニやってる。すげえ店めざす」という根拠ない自信です。人によっては別のやりかたがあるでしょう。だれもが俺みたいにいつも自信満々の虚勢を張っていられるわけではないです。
 まあこれ、かつて店長候補になったおっさんにもさんざん伝えたことなんですけど、結局、人を導く立場の人間に必要なものって「理想」と「己の強み」なんですよ。自分の内部のどこにそれがあるのか、徹底的に精査しなければならない。これは義務です。どこにもそんなものが見当たらないということは、ひとつの仕事を続けていれば絶対にないです。なかったら、どこかから借りてきたハリボテのリーダー像を必死こいて身に付けるしかない。
 ちなみに、自分を精査するのも、理想を持つのも、しんどいです。それを公表するとなればなおのことしんどいです。公表したぶんは、自分にも要求されますから。その自分への要求がいやだという人は、これは上には立てない。「おまえはなにものなのか」と問われたときに「俺はこういうものである」と答えることができなければ、上には立てないです。だから「俺はなにものなのか」という問いを無限に自分に対して繰り返す必要があるんです。
 まあ、いってみればペルソナですよね。社会人としての。
 俺はわりとペルソナをまとうのが下手な人なので、諦めて「他店なんかクソ」「俺の作った店こそが最高」という本音をそのままキャラにしました。
 遠回りなようなんですけど、人を教えるなら、まず教える側の思想を固めなきゃだめです。そしてそれを自分が信じることができるのか。俺はわりと本部の施策でも平然と否定しますけど、これは、信じたことを曲げられない人だからです。

 ……というようなことを、今日、さんざん人に教えていて、ひさしぶりに思い出しました。
 ちなみに明日は朝6時に起きなきゃいけないので、今日はエロゲもアニメもなしや……。
     
 
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