Notes

海未「暑いので」 凛「暑いからこそ」

海未「…………暑い…」
そう、思わず声に出してしまうほどに本日の気温は高く、とても5月には思えません。
手にしたハンカチも、もう許容量を超え重くヘタっています。

海未「こちらの方は涼しいかと思ってましたが……そうでもなかったみたいですね…」

来月行われる弓道部の練習試合、今日はその下見として八王子の会場校を訪れました。
てっきり、山に囲まれた地だとばかり思っていましたが…案外都会ですね……
こちらにお住いの方には申し訳ない想像をしていました…

さて、先ほど会場校を出て駅まで戻って来ましたが…
海未「お腹が空きました…」
気がつけば太陽はてっぺんを超えていました。お腹も空くはずです。
さて、そうすると、
海未「どこで食べましょうか…」

海未「…凛、聞いてますか？」
凛「にゃ！聞いてなかった！」
海未「何をそんなキョロキョロしてるのです…」
凛「だってだって！始めて来たんだもん！！面白そうなお店がいっぱいだにゃ！」

そう、今日は凛も一緒です。
たまたま、陸上部の助っ人で同じ会場校に行くらしく、下見として一緒に見に行きました。
初めての場所だからか、静かだと思ってたのですが…

海未「なにか、食べてから帰ろうと思いますが、何が食べたいですか？」
凛「ふっふっふー…凛に何が食べたいか聞くなんて愚問じゃ無いかにゃ！」

全然静かじゃなかったです。今日も五月蝿いです。

海未「………ラーメンとか言いませんよね？」
凛「当ったり〜！！」
海未「さすがに暑いので勘弁してください！そんな熱いもの食べたらもうハンカチがいくらあっても足りません！！」
凛「大袈裟にゃぁ…暑いからこそ！熱いラーメン！常識にゃ！」
海未「そんな常識有りません！！」
凛「あるよ！！ラーメン通はみんなそう言うよ！」
海未「それはラーメン通だからでしょう！？」

あ、怒ると、、、暑いですね…

海未「…ふぅ……ぁっぃ……そもそも、暑いから夏は冷やし中華とかが始まるのでしょう？熱いものは…無しです！」
凛「えー！そんなー…じゃあ冷やし中華食べに行くー？」
海未「あ、いえ…冷やし中華はいいです…」

あれは酸っぱいのであまり好きでは無いんですよね…
何度もむせたので。

凛「じゃあ何にするのーー！」
海未「うーん…」

特に何が食べたい、というのもなく、とぼとぼと道を歩いて行くと、ふと、ある立て看板が目に留まりました。

海未「冷やし……ラーメン？」
凛「ラーメン！！！？」

なんとまぁ、都合の良いことでしょうか、私と凛の要望が一気に解決しました。

海未「酸味を抑えた甘口たれ……美味しそうですね…」
凛「こんなの初めて見たにゃ！和風ダシの冷たいスープ……美味しそう……」
海未「これは…」
凛「決定だにゃ！」

さっきまでなんでもよかったのが、一気に冷やしラーメンの気分になりました。不思議ですね。

自動ドア「ｳｨｰﾝ」

店員「いらっしゃいませ！お客様2名様ですか？」
凛「はい！」
店員「奥の2名テーブルへどうぞ！」
海未「ありがとうございます。」

お店はそこまで広くは有りませんが、狭くもなく、ちょうどいい感じのこじんまり感がありますね。テーブル席があるのは嬉しいです。

店員「こちらメニューになります。」
凛「あ、もう注文します！」
凛「冷やしラーメンの中華風と和風を1つずつで！」
店員「ご注文繰り返させていただきます。中華風冷やしラーメンと和風冷やしラーメンがお一つずつでお間違えないでしょうか？」
凛「大丈夫です！」
店員「ご注文お受けいたしました、少々お待ちください。失礼します」

とりあえずお冷やを…喉がカラカラです…

〜数分後〜

店員「店員お待たせいたしました、中華風冷やしラーメンをご注文のお客様」
海未「はい、こちらです。」
店員「失礼します。和風冷やしラーメンをご注文のお客様」
凛「はい！」
店員「失礼します。ご注文の品以上でお揃いでしょうか？」
海未「はい、大丈夫です。」
店員「失礼します、ごゆっくりどうぞー！」

見た目は冷やし中華、ですが香りはあまり酸っぱくなく、醤油の甘い香りがします。
凛のほうからは濃い醤油の香りとダシの香りがしてきます。あちらも美味しそうです…

凛「それじゃあ！」
凛&海未「「いただきます！」」

まずは…そうですね、スープを飲んでみましょう。

海未「ｽﾞｽﾞｯ……っ！」

酸っぱく無い！美味しいです！
ダシと醤油の香りと、薄めで程よい酸味がとても爽やかです！
続いて麺と具も…

海未「ｽﾞｯｯ!……ﾓｸﾞﾓｸﾞ……！」

とてもさっぱりしています！美味しい！美味しいです！いくらでも食べられそう…

凛「海未ちゃん！！」
凛「こっちもめちゃくちゃ美味しいよぉ！！！ちょっと交換しよ！！」

凛が興奮気味に器を手渡してきました。
おや、こちらはチャーシューが別皿なのですね、珍しい…
まずはスープ…

海未「ｽﾞｽﾞｯ…」

そして麺…

海未「ｽﾞｯｯ……」

っっっ………美味しすぎる……なんですかこれは……
醤油の味は濃すぎず、脂も控えめ…
和風ダシの香りが次の1口を唆します…

凛「おいひぃ……おいひぃ……」
海未「ちょ、凛！？食べ過ぎです！！」

半分くらい食べられてる気がしますよ！？
こうなったら仕返しです…！

海未「凛、チャーシュー、いただきます。」
凛「にゃぁぁ！？」

別皿のチャーシューを頬張ります。

海未「！？」

これは……わさび！？
辛っ……あれ？……！！
なるほど、お肉の脂のおかげでマイルドな刺激…！いける…！！
ここにスープを追って……！！

海未「おいひい……れす……♡」

凛「うわっ、海未ちゃんが今までに見たことないほど気持ち悪いくらい幸せな顔してる！？」

失礼すぎません？

、
、
、

凛&海未「「ごちそうさまでした！」」

あっという間に食べてしまいました。
とても、とても美味でした。大満足です！

店員「お会計お分けしますか？」
海未「あ、お願いします。私は中華風のほうです。」
店員「810円になります。丁度ですね、ありがとうございます。 お次のお客様、750円になります。」
凛「んーー、小銭めんどくさいから1000円で！」
店員「1000円からお預かりいたします。250円のお返しです。ありがとうございましたー！」
凛&海未「「ごちそうさまでした！」」


自動ドアを出ると熱気の波。
心地よい満腹感と幸福感。
服に少しだけ染みた醤油の甘い匂い。

少しだけ暑さが和らいだ気がするのは気のせいでしょうか。

凛「また食べに来ようね！」

あぁ、また……また食べに来たいですね……
とびきり、暑い日に。

そんな、夏がちょっぴり楽しみになったある日の出来事でした♡