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第308話 女将軍 ♯

「それで何で勝負をするというのだ?」

 セクリトは俺を睨みつけながら言う。
その目には覚悟が宿っており、何を言われても応じるのだろう。
もちろん彼女を騙して不利な勝負をしかけるつもりはない。

「大きな物を賭けた勝負だ。走りや泳ぎで決めるのも格好がつかない」

 俺はそう言ってからナイフを一本彼女の足元に投げる。

「お互いに一番慣れた方法で決めようじゃないか」

 セクリトはナイフを拾い上げて確かめる。別に良い物では無いが粗悪品でもないはずだ。
だが彼女は嘲笑するような顔を俺に向けた。

「もう少し見所のある男と思っていたのだが、こうもケツの穴が小さかったか」

 何が不満だと言うのか。それに俺はケツの穴を緩める予定は無い。

「私に小さなナイフだけを持たせ、自分は大剣と盾持ちとは随分な勇者様だ」

 笑いながらもセクリトの表情に諦めはなく、ナイフを逆手に構えて身を屈める。
あぁそう誤解されてしまったのか。
彼女は粗末な服にナイフだけ、俺は甲冑姿で長剣と盾まで担いでいる。

「おいおい、馬鹿な事を言うな。そんな卑怯はしないよ」

 俺は長剣をセリアに預け、盾をイヴァンナに預けて丸腰になる。

「ぎゃー! つ、潰れます!」
「なんだこの盾は! 誰か手を貸せ! 潰れる!」

しまった。つい普通に武器を預けてしまった。
兵士達が慌ててそれぞれ二人がかりで長剣と盾を抱え上げている。

 セクリトは俺が剣と盾を置いたことで少し安堵の顔を浮かべた。

「お前もナイフだけで勝負すると理解していいんだな?」

「いや、そうじゃない」

 俺は首を振る。

「俺は丸腰でいい」
「なんだと?」

 褐色の美顔が歪む。

「私を馬鹿にしているのか?」
「そんなことはないさ」

 俺は甲冑の紐を解いて脱ぎ捨てる。

「さすがにそれは止めて下さい!」

 長剣の下から救い出されたセリアが悲鳴に似た声を上げる。
悪いが俺とセクリトを対等にするにはこれしかないんだ。

「ルールは簡単、一対一で戦って相手を戦闘不能にしたら勝ちだ。それでいいな?」

 セクリトは目を吊り上げて俺を睨みつける。

「構わん。だが貴様の意図を先に聞かせろ」

 彼女はどうやら俺が丸腰なのが気に入らないらしい。

「賭ける物の違いだ。俺は負けてもお前を逃がすだけで済むが、お前は負けたら俺に服従することになる。同じように得物を持って戦っては逆に不公平だろ?」

 それに裏の理由もある。
勝利の条件は相手の戦闘不能だ。当然セクリトは俺をナイフで殺すのが一番手っ取り早い。
だが俺はセクリトを傷付けずに戦闘不能にしないといけない。どの道得物は使えないのだ。

「なんなら剣がいいか?」
「おい! さすがにそれは許さんぞ!」

 盾の下から助け出されたイヴァンナが叫ぶ。

「これ以上のハンデなどいるか」

 セクリトはまだ納得できないような顔をしていた。
そう不公平でも無いと思うんだがな。

「但し、俺が勝ったら今回みたいに逃げるのは無しだ。しっかり服従してもらうぞ」
「……」

 黙るセクリトを前に更に続ける。

「もちろん服従と言っても酷い扱いなどはしない。何度も何度も愛し合い、やがては子も出来るだろう。俺の女になり母親になり……服従の約束など無くても俺と共に生きたくなるようにしてやる」

「……おぞましい。お前が言い出したことだ。後で文句など言うなよ」

 セクリトは腰を落とし、ナイフを逆手に構える。
しゅーと息を大きく吸いこんでから、ぴたりと呼吸を止める。

「……ふっ!」

 
 息の音が試合開始の合図だった。

 風のような速度で飛び込んで来るセクリト。
五mはあった距離が瞬きする間に〇になる。

「頭からとは」

 突進からの攻撃は普通に考えればナイフを前に突き出してくる。
だがセクリトは俺の目を見たまま頭から突っ込んできたのだ。

「驚いた」

 俺としては彼女に掴みかかり、地面に倒して押さえこみたい。
セクリトとは一度リヴァイアサンで戦ったのでおおよその能力はわかる。

 彼女は速度、身のこなし、力、全てがかなり高い水準にある。
速度は初見では目で追えない程だったし、身のこなしも本当に人間かと思う程だった。
一方で力は確かに並の男よりも強いが、俺と力比べできるほどではない。
掴んで押さえこんでしまえばそのまま決着させられるはずだ。

 ナイフを突き出して来たのなら、袖を掴んで投げ飛ばそうと思っていたのだが、頭から突っ込んでくるので勝手が違う。
仕方なく襟元を掴んで引きずり倒そうとしたがうまくいかない。

 俺の手が彼女の襟に届く直前、低い位置からナイフが振り上げられたのだ。
力の入らない姿勢にも関わらずかなりの勢いだ。これを受ける訳にはいかない。
良くこんな変則的な動きができるものだ。

 仕方なく俺は手を引っ込めて腰を引く。すると彼女は全力疾走から一瞬で急停止した。

 さて仕切り直しと構え直そうとした俺を鋭いナイフが襲う。

「ん!?」

 思わず声が出てしまった。
完全に足は止まって見えたのに力の乗った斬撃がきた。
腰の入っていない牽制の攻撃ではない。当たれば首を切り裂かれかねない。

「うう……もう見ていられません!」

 セリアとイヴァンナが固唾を呑んで見守っている。
試合とはいえあんまり俺が不利になるとセリアが飛び込んできかねない。
そうならない為にも頑張らないとな。

「余所見か?」

 言葉と同時、いや、ナイフの後に言葉が飛んでくる。
だがもう何度も見たのでさすがに避けられるはず――。 

「ぐ……」

 避け損ない、ナイフが俺の体に届いた。脇腹を軽く切られてしまう。
いや、本当は浅く無かった。盛り上がった脇の筋肉が無ければまずい場所まで刃は届いていたと思う。
セリアの鋭い悲鳴に俺は笑って平気だと答える。このままだと剣を掴んで飛び込んできそうだ。

「それにしても奇妙な動きだな」

 最初に戦った時も薄々感じてはいた。

 彼女の動きは恐ろしく早いが、何度も見ているので目では追えている。
今の攻撃も俺はギリギリで回避したつもりだったのだ。だが直前で腕が伸びた。

「……」

 セクリトは無表情のまま次の攻撃の準備に移る。
さすがに自分の口でネタばらしはしてくれないようだ。

 一旦距離を取ってから腕を大きく振りかぶって再び飛び込んで来る。
伸びた腕の正体はわからない。

 俺は先ほどと同じように紙一重で避ける動きを見せ、セクリトの腕が伸びる。 

 そこで俺は一気に距離を詰め。腕を掴む。

「なに!?」

 セクリトが声をあげた。

 どうして伸びるのかはわからないが、伸びるとわかっていれば避けられる。
得物はナイフなので腕の長さを考えれば素手の俺とさしてリーチは変わらない。

 引っ掻かれる痛みを無視してそのまま彼女を地面に押し倒す。

「あぐ!」

 俺が覆いかぶさって倒れたので受け身は取れず、肺から息が抜けたようだ。
このまま押さえこんで降参させよう。

「……この程度で――やられるか!」

 彼女が俺の下でもがいたと思った瞬間、股間に痛みが走った。

「ぐう!」

 器用に体を捩じった彼女の膝蹴りが俺の玉を捉えたのだ。
さすがに力が弱まり、セクリトは俺の下から転がり出てしまう。

「さすがに玉は竿と違って鍛えられないようだな!」

 勝ち誇るセクリト、俺は苦笑しながら立ち上がる。

「やられたよ。この程度で力が抜けるとは俺もまだまだか」

「すごい音したよな? 俺はてっきり潰れたものかと思った」
「あの蹴りを玉に食らって普通に立てるのかよ……男として信じられねえ」

 外野兵士達の声を無視して俺は再び構えを取る。
顔には笑みが浮かぶ。

 金的は痛かったが、今のやりとりで色々わかってしまった。
腕が伸びたように感じた事も変則的な動きの事もだ。

 三度突進してくる彼女。 
俺は定石から外れ、彼女の足の動きから目を離して上半身だけを見る。

 最後の踏み込みは左足だ。普通に考えれば右から攻撃が来る。
だが俺はまだ動きは取らない。

「しっ!」

 息を吐く音と共に彼女の右肩が軽く後ろに戻った。
俺は即座に腕を左に伸ばす。セクリトのナイフは彼女の右手から出て、振りかぶる前に俺の腕に弾かれて宙を舞った。

「なに!?」

 今後は俺の方から逆に突進する。

 セクリトは腕を払われた衝撃で上体が完全に泳いでいる。
このまま押し倒すのは簡単に見えたが、俺は彼女の足を見た。

「ふっ!」

 仰け反った体勢のままで鋭い蹴りが顎下を狙う。

「終わりだ」
「うっ!?」

 完全に読んでいた俺はその脚を掴んで放り投げる。
うまく受け身を取ったセクリトだが、四m近く上がったのでさすがに衝撃は殺しきれない。

「がほ! ごほ!」

 それでもむせながら彼女は立ちあがる。
戦いの中で苦しんでいる暇など無い。彼女も戦場で生きてきたのだ。

 上手く受け身をとってくれて良かった。
正直投げ過ぎたと思ったのだ。怪我でもされたら大変だった。

 安堵の思いを込めてセクリトに抱きつき締めあげて行く。

「あ……ぐぐ……」

 こうなってしまってはもう力以外の要素は無意味だ。 
腕まで抱えられているのでセクリトはもがくしかできない。

「ぐ……なぜ……攻撃を……読めた……」

 俺は答えず更に締め上げる。
彼女は力があるので緩ければ抜けられる。力を入れ過ぎると背骨を折ってしまうので手加減が難しい。

「さあ眠れ。そして俺の女になるんだ」

 最後にぎゅっと力を入れた所でセクリトの全身から力が抜けた。

「勝負有り!」

 今の今まで存在を忘れていた審判が俺の勝利を宣言して試合は終わる。

 俺は失神したセクリトを優しく横たえる。
包帯と薬を持ったセリアが慌てて駆けつけた。

「本当に胆が冷えました。脇と……そのアレは大丈夫ですか?」

「もちろん。かすり傷だよ」

 セリアの頭を撫でて髪をぐしゃぐしゃにする。
慌てて直すセリア。このやり取りをすると落ち着く。

「凄い戦いだったな。それにしても奇怪な動きをする女だ。最後は完全に見切っていたように見えたが」

 イヴァンナもやってくる。
もうセクリトと戦うことはないだろうが、種明かしでもしておこうか。

「秘密は体の柔らかさだよ。セクリトは体がとんでもなく柔らかいんだ」

 腕が伸びたように見えたのは通常の攻撃体勢から更に体を捩じったからだ。
変則的な攻撃は、上半身と下半身に別の動きをさせられるからだ。
左に重心を移しながら右からの攻撃がくるので、足や腰の動きだけ見ていても動きが読めない。
体を限界までしならせてくるので体重が乗っていなくても攻撃の威力が高いのだ。

「なるほど……見抜いたのは押さえこんだ時か?」
「ああ、あの体勢から股間蹴りをするのは普通の人間じゃ無理だ。いかに怪力だろうとな」

 俺はセクリトの髪を優しく撫でる。

「ともあれこれで彼女は俺の女になった……ふふふ、柔らかい体か、あんなことやこんなこともできるのかもしれん」

 セリアとイヴァンナの目が冷たくなる。

「言っておくが私はまだ納得していないぞ。お前がこの女を玩具にしても何も言わんが、ゴルドニアに連れ帰るとなれば話は別だ。またいつ連邦に牙を剥くかわからんのだからな!」

 イヴァンナが吠える。
まあそれは後で考えるとしよう。




「ううん……」 

 白都に戻る船上のベッドでセクリトが目を覚ました。

「起きたか。体は大丈夫か?」

 彼女は隣に寝る俺を見て跳ね起きようとした。
そして試合の結末を思いだしたのか、再び力無く寝転ぶ。

「私は負けたか。素手で半裸の男に……ふん、お前は強い男だな」

 俺は何も言わず彼女を抱きしめる。

「そう言う訳だ。不本意かも知れんが、俺に服従してもらう。つまりは俺の女になってもらう」

 セクリトは何か言おうとしたが、諦めたように言葉を飲み込む。

「私もここまでらしい。で、何をさせる? 寝ている間に体は貪ったか」

 彼女は布団をめくり、全裸の自分と同じく横に眠る全裸の俺を見比べる。
まさか、寝ている女を犯すようなことはしない。
ただ、全裸で眠る彼女を見る内に俺も同衾したくなっただけだ。そして女が裸なのに俺だけが服を着ているのは無粋だと思って脱いだのだ。

「まずはお前の話を聞かせてくれ」
「は?」

 セクリトの目が丸くなる。こうして見ると可愛い顔をしている。

「お前の今までの話だ。どこで生まれ、どう生き、どう戦ったのか。お前の全てを教えて欲しい」

 彼女の手に自分の手を重ね、目を見ながら言う。

「そんな事を聞いてどうする」
「お前の心を狙っているんだよ」

 セクリトを抱き寄せ、胸の中に迎え入れる。
彼女は抵抗しようとしたが、服従の約束を思いだしたのか、素直に抱かれている。

「お前はそのままだと逃げそうだしな、反抗的な態度を取られればイヴァンナが連邦から出してくれそうにないからとりあえず服従を約束して貰ったが……」

 彼女の胸を軽く撫でる。
セクリトは反応せず、続きを話せと目で催促してくる。

「俺はお前を服従させるだけでは足りないんだ。心まで俺に惚れて貰いたい」
「何を馬鹿な」

 更に続ける。

「服従の約束など忘れて俺に惚れこみ、夜は俺の胸の中で幸せになる。そんな女になって欲しいんだ」
「ならそう命じれば良い。服従の約束だ、真似ぐらいはしてやる」

 俺は首を軽く振る。

「男としての俺の魅力でお前をそんな女にしてやりたいんだよ。そのためにも俺にお前を知る機会をくれないか?」

 俺はセクリトに乗り、首筋への愛撫を開始する。
恐らく簡単には話して貰えないだろうから、まずは体を愛撫して彼女の機嫌を取ろうと思ったのだ。

「……やめろ」

 だが彼女は俺の頭を押さえ、男らしく大の字になって天井を見つめながら話し出した。

「ちょっとしたお伽話をしてやろう。不快な話だ。覚悟しておけ」

 思った以上に簡単に話してくれた。だが表情を見るに気持ち良い話ではなさそうだ。


「ある少女は元々連邦東部の寒村の生まれだった。地域も村の名も忘れたがな」

 まさかセクリトが連邦生まれとは、驚いたが話の腰を折りたくはない。

「少女は母親と二人で暮らしていた。父親は最初からいない……母に種をぶち込んだオスはいたが」

 セクリトは枕元のカップを取り、酒を煽ってから続ける。

「村は度々蛮族の襲撃を受けていた。母親は逃げ遅れて犯され、少女を身籠ったと言う訳だ」

 俺が何も言わずカップを取ると、セクリトは話しながら注いでくれる。

「強姦で生まれた父無し子、しかも相手は蛮族ときた。村で母親と少女がどんな目にあったかはわかるだろう? そこで邪魔なガキを処分していれば万事うまくいったのだろうに」

 随所に入る自虐の度に俺は彼女の肩や胸を撫でる。

「少女が十になるかならないかの時だ。些細な……今となっては思いだせない程些細ないざこざのせいで母親ともども村を追い出された。ご丁寧に雪の舞う時期だったようだぞ」

 冬の連邦東部に女と十の子供を放り出すとは。その村を特定したら井戸に小便でもしてやろう。

「とりあえず少しでも温かい所、街のある所を目指して南下した。だが持って来た路銀などたちまちなくなる。目立った特技も無く、少しばかり美人だった母親にできる仕事はわかるだろう? お前は好きそうだしな」

 娘の為、男に抱かれながら路銀を稼いで南へと向かったのだろう。

「だが本職の娼婦でもない真似ごとだ。客の良し悪しもわからない。ある日捕まえた身なりは良いが、柄の悪そうな男、今考えれば騎士か下級貴族かの放蕩息子だったのだろうな」

 あぁ嫌な予感しかしない。

「散々に殴られ、血の出るような酷い抱き方をされ……最後は娘の目の前で絞め殺された。母親が最後に伸ばした手の感触を少女は今でも覚えているのだろうな」 

 肩を抱いていた手に思わず力が入り、セクリトに小さな悲鳴をあげさせてしまった。

 女を子供の前で乱暴して殺すとは、見つけたら生きたまま一物と首を引き抜いてやりたい。

「お伽話だ」

 セクリトにそう言われてしまう。
彼女にすれば俺が怒るのも馬鹿な話か。一言謝るが、腕は彼女を抱きしめたまま離さない。

「それにその男をどうこうするのは不可能だろう。既に地獄へ落ちたからな」

 彼女は果物用のナイフを手にとる。

「母を殺した男が次は少女に向かってきた。すると少女はこれと同じようなナイフを喉元に突き立てて男を殺してしまった」

 ナイフを壁に突き立て、続きを話し始める。

「一人になった少女は既に河の近くまで来ていた。そしてエレクトラ――懐かしい名前だ。に到着したが、文無しのガキが船に乗れる訳などない。だから夜のうちにこっそり積荷に紛れて客船に忍びこんだ」

 母を殺された直後でよくここまで行動できるものだ。
子供の頃から龍は龍と言うことだろうか。

「しかし少女はすぐに見つかり、船員に取り囲まれてしまった」

 ありゃ、駄目だった。

「だがそこで救世主が現れる。その船には三人の貴族が供を連れて乗っていてな。見るからに困っていそうな少女に温かい食事を与え、貴族用の特別なベッドで寝かせてくれると言った」

 良い奴らじゃないか。少女が困っているとなれば助けるのが当然だが。

「少女は感謝したさ。連邦には母を殺した屑だけじゃない。こんな良い貴族達もいるんだとな」

 そしてセクリトは天井を向いて続ける。

「それも夜、貴族共に集団で犯されるまでの話だ」

 前言撤回だ。こいつらも一物を引き抜いてやりたい。

「それはそれは酷かったぞ。まだ子供の少女、しかも満足に食べていないせいでやせっぽちの少女に腹の出た中年男共が次々と圧し掛かる」

 俺はセクリトの代りにカップを強く掴むが、すぐに握り潰してしまった。

「少女の処女はあっという間に引き裂かれ、口も尻も穴という穴は全て犯された。下半身は血まみれでな。汚い種を全身にかけられたと思ったら次は貴族の従者達だ。夜が明けるまで続いた」

 俺はゴシゴシとセクリトの頭を撫でる。

「髪が抜けるやめろ! ……それで夜明けと共にボロボロになった私はどうなったと思う?」

 目を見て続きを促す。

「全裸のまま河に放りこまれたのさ。泳いだことなどなかったし、おまけに身を切るような寒さだ。たちまち少女は溺れたよ。すると嬉しそうに貴族共は笑っていた」

 彼女は嫌がりながらも俺の腕を振り払わなかった。

「手も足も動かなくなって息も続かない。これでやっと終わってくれるのかと諦めた時……足がついた。溺れて流されながら岸までたどり着いていた」

 やはりセクリトは並の女ではない。

「だが南とは言え、冬の寒さの中で濡れて全裸だ。少女は凍えて震える……そこに一人の男が」
「またクズか、勘弁してくれ!」

 俺が思わず口を挟んでしまうとセクリトが笑い出す。

「くく、そうだクズだ。だがこの男は少女を助ける良いクズだったのだぞ?」

 セクリトの笑い顔を初めて見た気がする。

「そのクズは奴隷商の手先でな。売れる子供や女を見繕っていたらしい。私を見るなり目を輝かせて腕を掴んで来たよ」

 そう言って彼女は俺の顔を覗き、いらついているのを見て嬉しそうに笑う。

「少女はこう言った。『貴方の言うことになんでも従います。ご奉仕するので乱暴しないで下さい』そして男の股間に顔を埋め、一物に舌を這わせた」

 セクリトはイチゴを一つ口に放り込む。

「男が欲情して少女の口に一物を押し込んだ途端――」

 彼女は口に入れたイチゴを思い切り噛み潰した。

「粗末なチンポを千切られてのたうち回るそいつの上に馬乗りになった少女は、河原の石を掴んで何度も何度も振り下ろした。こうして全裸の少女は男物だがボロで無い服と懐の金、護身用のナイフまで手に入れる事ができた。ほら、こいつは良いクズだろう?」

 俺は何も言わずセクリトを抱き締める。
体温はやたら高かった。まるで泣いている時のようだ。

「私はその金とナイフを使って河を下り、海に出て……帝国へ入ったんだ。金がなくなればスるか強奪した。訓練などしたことはなかったが、私はナイフ一本でいくらでも男の首を搔き切れた」

 セクリトは戦闘に天賦の才を持っていた。
本当は気付かない方が良かったのだろうが。 

「この先も聞くか? 帝国到着の後、第二編が始まるぞ」
「いや、もういい」

 彼女をがっちりと抱きしめる。

 俺の想像以上だった。俺も大概の人生を歩んで来たつもりだったが、セクリト程ではない。
俺には誰もいなかったが、彼女には母がいた。
その愛する存在を無残に奪われる苦痛はいかばかりか。

「それで連邦を恨むか。戦争中に聞かなくて良かったかもしれない」

 こんな話を事前に聞かされていたら彼女の味方をしたくなってしまう。

 だがセクリトは静かな調子で首を振り、言う。

「違う。私は連邦を恨んでなどいない。母の復讐をしていたつもりもない」

 はて、どういうことか。

「私が連邦に仇成す道を選んだのは……民を殺しまくったのはな、単に気に喰わない、嫌いだからだ。連邦がこの世界に存在するだけで不愉快だからだ」

 セクリトの目が大きく開き、瞳から光が失われていく。

「オルガ連邦を世界から抹消したかった。そこに暮らす奴らを全て屍にしてやりたかった。ただそれだけの為に戦っていたんだ」

 狂っていると言えるのだろうか。
彼女は俺に向かって話していない。見えない何か、いや自分に向けて話しているようだ。

「だがもう終わった。お前の望みは叶わない。なら次善の策で俺の女になるのも良いだろう」

 既に帝国は敗走した。両軍の損害は激甚で、すぐに再侵攻などできない。
彼女が連邦を滅ぼす機会はもう来ない。

「そうだな。今更私が暴れても十人ばかりの兵士を殺して終わりだろう。それに本国に帰った所で拷問の後、吊るされるのが関の山。私の望みは叶わなかった」

 彼女は俺に向けてかすかに微笑む。
これは俺の女になってくれると言うことだろうか。

「私を連邦に突き出せ。恨みはどうでも良いが、やられた事を一万倍ぐらいにして返した。これで満足しておくとしよう」

 セクリトは壁から果物ナイフを引き抜いて俺に渡す。

「聞けばザフネスを捕えれば金貨十万枚と言うではないか。私の首にも同じだけの価値はあるだろう。下らん話をした詫びだ。もっていけ」

 ナイフを自分の首筋に当てるセクリト。
俺は腕に力を入れ……ナイフを天井に投げ付けた。

「馬鹿な事をいうな。金貨十万枚? そんなものより俺はこの魅力的な身体が欲しい」

 セクリトの上に乗っかり、乳房を揉み、肩口に吸い付く。

「……十万の価値のある女体などあるものか」
「ある!」

 言いながら俺は顔を近づけていく。

「お前の心と体、全てが欲しいと言っただろう。金になど変えられてたまるか!」

 唇を軽く合わせてから受け入れてくれと舌でつつく。
セクリトの口は開かない。

「過去は消えない。だが忘れることはできる。過去を忘れ、俺の女として幸せになるんだセクリト」

 再び同じようにする。
すると今度は少しだけ口が開き、彼女と俺の舌が遂に絡んだ。
強姦した訳でも、仕置きでも、服従の命令でさせた訳でもない。

 セクリトが自分の意志で俺の舌を受け入れてくれた。
そう考えると肉棒が一気に膨らんでいく。

「お前に全てをやる訳ではない。だがそれだけ私に御執心なら――」

 キスは中止され、彼女のは俺の股間へと下がって行く。

「今しばらくは垂らし込まれたことにしておいてやろう。しゃぶってやるから足を開け」

 既に大きくなっている一物を手で持ち咥える。
無愛想で媚の無い行為だが、前回噛みつかれた時の誘いよりずっと彼女らしかった。

「無愛想なのに上手いな……おおぉ、これはすごい」
「女が上に行くには必要なことと思ってな。色事師を雇って色々と練習した」

「その男に嫉妬してしまう」

 セクリトは少しだけ笑い、しゃぶりながら指を立てて床を指す。
船の床……いや水面……なるほどその男、今は水の底か。

「ぷは、それにしてもでっかい奴だ。毎日何を食ったらこんなになる? リヴァイアサン級だぞ」
「もちろん女を食べているに決まっている」

 自信満々に言う。

「うるさい阿呆」

 股間に少しの痛み、セクリトが肉棒を甘噛みしたのだ。
途端に男根は更に膨らむ。

「おい、なんで噛まれて巨大化する」
「はっはっは」

 もう口に入らなくなったので、俺はいよいよ彼女に覆いかぶさった。
肉棒を穴に押し当ててゆっくりと挿入していく。

「う……うぅぅぅ……!! あぁぁぁ! で、でかい! でかすぎる!!」

 叫ぶセクリトにキスをしながら肉棒を押し込み、三分の二程度まで入ることができた。
腰を動かすと苦しそうなセクリトの喘ぎが漏れる。
もちろん苦しめたくないので全身を愛撫し、腰も調整してなんとか快楽を引きだそうと試みる。

 徐々に喘ぎから苦悶がなくなり、高い嬌声も漏れ始めた時だった。

「情事の戯言に聞け。……もしお前が私と母に会っていたらどうなっていたんだろうな」
「もちろん、お前の母を俺の女にしただろうな」

 即答するとセクリトは溜息をつく。

「こぶつきでもか?」 

 俺とセクリトでは彼女の方が年上のはずだ。
だからこれはただの戯言、なんの可能性も無かった話だ。

「お前の母と言うからには良い女のはずだ。些細なことだよ」
「私の前で母を散々に抱いたんだろうな。この凶器のような一物で」

 何の意味もない未練だけの話だ。

「だが必ず悦ばせて見せる。お前の母を幸せにしてやれたはずだ」
「強く出たな。……だがお前にはそれができたかもしれない」

 その時、男根がずるんとセクリトの穴の中に引き込まれる。
彼女の穴が俺を受け入れようとしているのだ。

「だがお前は女狂いだから、まだ十やそこらの私まで犯したかもな。この巨根で犯されれば……穴が裂けて死んでしまいそうだ。こう見えても小さい頃は可愛らしかったのだぞ」

「そんなことするか。毎日美味い物を食べさせて、温かいベッドで一緒に寝る。事あるごとで頭を撫で回して髪をぐしゃぐしゃにするのもいいな。悪戯をしたら頬っぺたを引っ張ってやる」

「そうか……ぁぁ……あぁぁぁ……く、感じてきた……」

 腰の動きを激しくしていく。
既に肉棒は八割以上が入りこんでいた。

「そして一六ぐらいになったら俺の女になってくれと誘うだろうな」

「あぅっ! げ、外道だな。娘のように育てて女になったら食べるのか……だ、だが……そんなことをされたら私――いやその少女は、きっと拒まなかっただろう。むしろ望んでお前の女になったろうに」

 セクリトが言い終わるとまたも肉棒が深く沈んでいく。
遂に子宮の入り口を突破して完全に根元まで入ってしまった。

「苦しい……だが……悪く……ない」 

 両手両足が腰に回る。
肉棒が脈動を始める。

 避妊を求める雰囲気は一切なかった。

「ふ、打倒連邦は子供に託すとするか。物語のようだろう」

「男ならそれも良いが、女なら安穏と生きさせてやってくれ」

 その会話を最後に俺とセクリトの口から出るのは言葉ではなくなる。

「ひ……あぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぐ……うぉぉぉぉ!!」

 とばっと濃い種が飛び出し、根元まで入った肉棒を通って彼女の一番奥に飲み込まれていく。
直接子袋に流し込んだ大量の種は時期さえ合えば確実に卵を捕まえるだろう。

「セクリト大好きだよ」
「……愛している――――というふりをしてやろう」  

 激しい射精音を聞きながらキスをする。

「ふりだけか?」  
「ふりだけだ……今はな」

 長く続いた射精が終わった後、俺達は重なってベッドに転がる。

「次は面白い体位に挑戦してもいいな。お前なら色々できるだろう?」
「やはり気付いていたか」

 セクリトは溜息をつきながら起き上がり、足をスッと開く。
一八〇度の開脚を楽にこなした。これは夢と肉棒が膨らむな。

 おっと、それより聞きたいことがあったんだった。

「ところでお前に聞きたいことがある」
「なんだ?」

 イヴァンナが言っていたことだ。

「気の強い女は尻穴が弱いと聞いたぞ。お前はどうなんだ?」
「……あの女からだろう? 私が散々言いながら奴隷共に尻を犯させたからな」

 しまった。セクリトが本家だったらしい。

 気まずい雰囲気の中、彼女は顔を逸らしたまま言う。

「まぁ私は……尻も嫌いではないぞ」

 俺はそう聞くなり、セクリトに襲いかかる。

「セクリト! 尻を味わわせてくれ!!」
「待て! いきなりは止めろ! 自分の大きさを考えろ!」

 俺達は再び絡み合う。


翌朝

 嬉しくなってしまった俺が豪快に腰を使い、セクリトは切れ痔になってしまったのだった。
馬鹿、アホと罵られながら薬を尻に塗り込む。

 こうしてセクリトは俺の女となり、彼女は俺を愛するふりをすることになったのだった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
主人公 エイギル=ハードレット 24歳 春
地位 ゴルドニア王国辺境伯・東部大領主 山の伝説 ドワーフの友 アレス王の友 竜殺しの英雄
エルフの仲介者 白都の性王

領民 179000人 難民18000人
重要都市 ラーフェン 28000人 リントブルム 5000人 ヴァンドレア特別町 9000人

軍7700名 
歩兵4500騎兵1000弓兵600弓騎兵900臨時難民警備兵1500
予備役2300
大砲20門 大型砲18門 ドワーフ砲16門

家族
ノンナ(正妻)カーラ(側室)メル(側室)ミティ(側室妊)マリア(側室妊)カトリーヌ(側室妊)
メリッサ(愛妾)クウ(愛妾)ルウ(愛妾)ミレイ(愛妾)ピピ(従者)
ケイシー(幽霊)リタ(メイド長)ヨグリ(脚本家)アリス(前後不覚)レア(発情)
マルスリーヌ(愛妾孕)娘ステファニー(愛妾)ブリジット(愛妾)フェリシー(愛妾)
ナーティア(冒険エルフ)ブリュンヒルデ(吸血鬼)ソフィア(愛人)セクリト(愛人)

セバスチャン(窮)ドロテア(王都屋敷管理)クラウディア(巨肉玉)クララ(侍女)
フェルテリス(みんなの肉便器)

人外
ラミー(諦め)アルラウネ(もさもさ)プチローパー(寄生)ミルミ(遠足)
ペット 
ポチ(勇者トカゲ)メッサーシュミット(駄犬)シュバルツ(交尾)

部下
セリア(副官)マータ(秘書)
イリジナ(指揮官)ルナ(指揮官)ルビー マイラ(拗)
ギド(護衛隊)ポルテ(難民担当官-緊急)グレーテル(妻犬予定)
レオポルト(参謀-緊急)アドルフ(内政官-緊急)トリスタン(内政補佐)
クレア&ローリィ(御用商人-緊急)リリアーヌ(女優)クロル(使用人)アルマ(使用人)

財産 金貨10450 難民対策(2000)国境対策(500)
経験人数504人 産ませた子55人+555匹
     
 
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