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2012年2月

快盗天使ツインエンジェルSS 第3章 [夕日に染まる学園]

唯一「…以上が真の彼女達の姿の全貌だ。信じてもらえるかは知らないが…」
勝太「…いえ、如月先輩が嘘を付くような人間だとは思っていませんよ。ただ…」
唯一「ただ?」
勝太「…彼女達なら、信頼できると思って。この町の平和を守るのに相応しいと本気で思ったんです。」
唯一「…そうか。それなら俺も話した甲斐があったというものだ。」
勝太「えぇ。むしろ話してくれなかったら後悔すらしたかもしれません。」
俺は如月先輩から水無月さん達の経緯を細かく教えて貰った。
古来から伝わる『天ノ遣』としてツインエンジェルが存在し、そのツインエンジェルを継ぐ為の聖なる力を持ったのが神無月家次期当主の神無月葵さんと、家庭の事情によって神無月家に引き取られた水無月遙さんは天ノ遣としての力を持っていたらしく、神無月さんの無二のパートナーとして二人が天ノ遣を継ぐ事になったらしい。
それから、葉月さんの話も聞いた。元々葉月家は天ノ遣の手助けをする家系らしく、葉月クルミさんはその手助けをすべく、この学園に飛び級してきたようだ。
そして、最近になりツインエンジェルの活動が活発になっていたらしい。ブラックオークション・ブラックファンドといった大きな闇企業との戦いがほんの1年~半年の間に起こっていたというのだ。勿論、平和なこの状況からして被害も彼女達のおかげで相当少なかったのだろう。
如月先輩の秘密も教えてもらった。ツインエンジェルの手助けのために、ミスティナイトとして表舞台の彼女達をサポートしているようだ。
ちなみに裏情報らしいが、昔テスラさんとナインさんはツインファントムとしてブラックファンドの首領の父親と共にツインエンジェルと戦っていたという聞いた話が1番ビックリした。今ではツインエンジェルと一緒になってこの学園に通っているのも、彼女達の活躍のおかげらしい。
唯一「そうだ、ほんの2ヶ月前には異世界に飛ばされた事もあった。」
勝太「い、異世界にまで行ったんですか?」
唯一「あぁ、あの5人と11年前に行ってきた事があった。そこには葉月の叔母さん、葉月つかささんもいらっしゃった。だが…彼女はその年で亡くなる運命にあった。」
勝太「えっ!?じゃ、じゃあそのつかささんは…」
唯一「あぁ…だがこの話はそんなに深追いする話でもなかったな…失礼。」
勝太「…色々大変なんですね、彼女達。」
この話を聞いていると、正直平和にぬけぬけと生きてきた自分にイラっとする。
俺の前ではそんな危険な戦いをしているようには全く見えなかった。それどころか平和な生活が当たり前のように一緒に過ごしてた。なのに彼女達は自分達で平和を掴んでいたなんて…
そして、この後の話が話を一気に加速させることになる。
勝太「…あの、最後に一つだけいいですか?」
唯一「なんだ?」
勝太「そんな大事な話…俺に言っても良かったんでしょうか?」
唯一「成る程。…それは橘。お前にも隠された…過去があるんだよ。丁度9年前にあった話…覚えているか?」
勝太「え…いや、全く記憶に…あ、あれ…9年、前?」
俺は驚愕しかけた。なんせいきなり俺にも何か能力があると言わんばかりに言われたのだから。だが一つ俺の中で疑問が生まれてしまった。
勝太「……全く9年前の記憶がないぞ……」
唯一「…では、10年前の記憶は何か覚えているか?」
勝太「あ、10年前は今の家の前の家に引越しがありましたね。…ん?普通に思い出せる…何でだ?」
唯一「なら、8年前はどうだ?」
勝太「えっと…あ!そういや俺のお祖父さんが亡くなったのが8年前…」
唯一「…やはり、本当に君だったのか…」
勝太「え…それは一体どういう…」
唯一「橘、これが多分1番驚愕するかもしれないが…君は8年前の記憶がぽっかり無くなっている筈だ。」
勝太「はぁ…え、えぇぇっ!!?」
俺は情けない驚き方をしてしまったかもしれない。お、俺の記憶がぽっかり無い…だと?
勝太「そ、それはどうしてそう分かるんですか?」
唯一「…これは本人に見せて良い物なのかは知らないが、これを見るなら相当な覚悟を持ってもらうが、構わないな?」
まただ。この表情…間違いなく俺が驚愕する代物だ。でもこのまま知らないで生きるのは…!
勝太「勿論です。その覚悟、端から話を聞いてる段階で持ってるつもりです!」
唯一「…分かった。これが君の記憶が無くなっている証拠の資料だ。」
俺はそれを少々強引に受け取った。こ、これは…
勝太「…なんだ…これ…?」
そこには、[被検体4649 橘勝太]という名前が書かれている紙だった。
唯一「…それは先程話した『ブラックオークション』の超機密の被検体実験の人物データだ。奴等は『天ノ遣』の年齢層の子供達の何人かはその力を持っていないかという憶測を立てていた。そして無作為に子供達を次々と誘拐し、その力を無理矢理その子供に植え付けるという人体実験もこなしていた奴等だ。その被検体の一人が橘、君なんだ。」
勝太「…そんな…そんなことって…」
唯一「勿論、その力をただの子供達に植え付ける等といったのは極めて難しい話だ。しかしその子供達の内、君だけは違っていたらしい。すぐに適正反応が出たらしく、君にはすぐに『天ノ遣』の力のほんの一部を植え付ける事に成功してしまったんだ。そして、君はその力を制御出来ず、研究施設を半壊させる程の暴走を起こしたようだ。」
勝太「…そ、それで…俺はその後一体…」
唯一「…君はその後自力で自宅に帰宅したらしい。君の両親が玄関で倒れている君を発見したらしい。ちなみにその研究所から君の前の家までは約100キロはあったらしい。この話だけでも不思議だというのに、誘拐された事やその年の記憶が実験の影響か何かで無くなっていたらしい。」
勝太「…で、でも俺はそんな暴走なんて一切したこと無いですよ…?」
そうだ。そんな暴走を起こせるなら何故今まで1度も無かったんだ?それはどう考えてもおかしいと思うが…
唯一「…これは俺の憶測になるのだが、それは『天ノ遣』の力が近距離で発動しない限りは何も起こらない。というのが一番しっくりくるのだが…」
勝太「で、でもそんな力があるなんて…信じられないですよ…」
唯一「だがその資料は本物だ。君の過去に『ブラックオークション』との接点があるという点と暴走時の威力。あれはツインエンジェルの力に匹敵するのは確かだ。それはツインエンジェルの彼女達を助けられる。だから俺は橘、君にこの話をしたんだ。」
勝太「…嘘じゃないのは分かりますが、何かすぐに信じるのは難しい…ですね…」
唯一「…それは十分承知だ。だから、君には決心がついたらもう一度この生徒会室に来て欲しい。もし決心するのが無理なら来なくても良い。」
勝太「…分かりました。…すいませんが今日はこの辺りで宜しいですか…?」
唯一「あぁ。本当にいきなりで悪かった。これだけはしっかり詫びさせて欲しい。」
勝太「…大丈夫ですよ。俺は先輩には何も思ってませんから。」
唯一「…ありがとう。またここで、待っているよ。」
勝太「…では、失礼しました。」
と言って俺はドアを閉めた。
勝太(でも、あの子達の力になれるってことなんだよな…)
俺はそんな風に思いながら外に出た。

葵「あ、勝太さんではないですか。」
勝太「あ…」
しまった…まさかこのタイミングで神無月さんと遭遇するとは…
葵「今から遙さん達と一緒に帰るのですが…今からご帰宅ですか?」
勝太「あ、あぁ。これから帰宅するとこ。」
葵「でしたら一緒に帰りましょう。その方がお二人とも喜びますし。」
勝太「そ、そうですね~。か、帰りますか~」
何かぎこちない気がするのは俺の気のせいであって欲しい。
葵「では参りましょ、勝太さん。」
勝太「はーい」
といって神無月さんに並んだ瞬間、
葵「…私は、どんな方であっても、勝太さんは勝太さんですから安心してくださいね。」
勝太「…!!?」
え!?…ま、まさか神無月さん俺の過去について何か知ってるのでは…?
勝太「ど、どういう意味でしょうか?」
葵「…まだ内緒、ですね。」
と言って神無月さんは小走りになってしまった。
葵「待たせてるお二人の為にも急ぎましょう!」
勝太「えっ!?ちょ、ちょっと待って下さいぃー!」
そして、昇降口を抜けるとそこには水無月さんと葉月さんの姿があった。
遙「葵ちゃーん!あ、勝太くんも一緒だぁ!」
クルミ「で、何で二人とも走ってるのかしら?」
そして二人を何故か追い抜く形で校門を抜ける俺と神無月さん。
葵「今日は少し走って帰りたい気分なんです~!お二人も早く来て下さーい!」
遙「よーし、クルミちゃん!いっくよー!!」
クルミ「ちょ!私、今日部活ハードだったのにぃー!!」
そして何故か意味も無く走る俺達。これが、平和なんだろうな。
そして、俺が1ヶ月程通っているこの学園は、夕日に綺麗に染まっていた。
彼女達の笑顔も、そんな綺麗な笑顔だった。
                                   NEXT…
     
 
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