Notes

2012年5月

快盗天使ツインエンジェルSS 第４章 [ひとときの安息。]

…以上が一昨日の記憶だ。
というか長い回想だったが、俺には一瞬の話だからな。
さて、本当にこのまま彼女らに何も話さずに過ごしていいものか…？
俺がこの話をしてみたとする。恐らく彼女らはビックリするだろう。俺みたいな普通の人間がツインエンジェルの正体を知ってたり、実は強化人間(?)でしたーみたいな話をしたら、そりゃな。
葵「…勝太さん。お箸が止まっていますが、具合でも悪いのですか？」
勝太「あ…い、いや特には。食欲はありますし。」
そういや、神無月さんは何か知っているみたいだったな…まぁ神無月家の情報網には俺の話なんて容易に知れるって事だろうか…
遙「本当だー。勝太くんのお弁当、こんなに美味しそうなのに～」
葵「あらあら。勝太さんのお弁当にも遂に遙さんが目がいきましたね～」
勝太「え？そ、それはどういう…」
と言いながら水無月さんを見てみると…
勝太「…ん！！？」
遙「か、か、からあげがとっても美味しそうだよぉぉぉ…」
と言いながらリアル目がキラキラしてる…こ、これは何か？欲しいって事なのか？
クルミ「勝太、遥がそうなったらあげた方が良いわよ。遙は食べ物の事だと何されるか分からないし…」
勝太「あ…そうなんだ…まぁ２個あるし、あげようか？」
遙「本当！？やったぁ～☆」
と言うので、俺は箸でから揚げを取り、水無月さんのお弁当箱へ…
遙「はむっ」
勝太「……ぇ？」
…入る予定だったから揚げは予定を大きくずれ、水無月さんの口に入った。
クルミ「ちょ！あ、アンタなんでそのまま食べてんのよ！！」
遙「へ？だってあ～んの方が食べ物は美味しくなるんだよ～」
クルミ「そういう問題じゃなーい！！！」
俺は正直ビックリしすぎて硬直していた。あれ、おかしいな…俺、あ～ん、したのか？
葵「あらあら、遙さんは食いしん坊ですね。」
勝太「え！？そこなの！？」
クルミ「葵お姉さまも少しは動揺して下さいっ！」
俺は…話す以前に、何かまだ色々と早いのかもしれない…
遙「から揚げ美味し～☆」

そんなこんなでドタバタ昼食会も終了した。…本当、終われて良かった…
さて、５限は体育だったか…ちょっと待て、体育…だと？
勝太「…まだ戦いは始まったばかりの様だ。」
体育。所詮体育と思うだろうが、この学校の体育は男女混合だ。それが何かって？？
まず体育と言えば何をするか。準備体操。これは万国共通と言っても過言ではない。
…そこが一番の難関なのだ…。

先生「では、二人一組になって柔軟開始して下さい。」
遙「さて、今日は誰が勝太くんと組む～？」
葵「この前は遙さんでしたし、今回は私かクルミさんという事にしませんか？」
クルミ「えっ！ま、まぁ組む人が居ないんだったら仕方ないですよね…」
そう、柔軟体操は二人組みが基本。そしてここのクラスの男子は「奇数」なのだ。
つまり、必ず余りが一人出るわけだが…
勝太「だからと言ってみんな組む相手を固定相方にしないでくれぇ…」
そのせいで俺は水無月さん達と柔軟する事になるのだ。役得だと思うだろう？確かに役得だ。だが少しでも行動をミスればそのまま地獄行きになるのは目に見える話。そんな状況で素直に喜べというのが無理な話だ。
葵「勝太さん、ここはあなたに決めて貰いましょう。どちらが宜しいですか？」
クルミ「……」
神無月さんはニコニコとこちらに決定権を差し出してきた。葉月さんはジーっとこちらを見ている…こういうのが一番辛いんだよな…
勝太「じゃ、じゃあ神無月さん、お願いします…」
葵「はい。宜しくお願いしますっ」
クルミ「……む。」
何か変な視線を感じたがここは気にしたら負けかなと思い、柔軟へ。
葵「では、まずは私が押しますね。」
勝太「あ、はい。お願いしまーす」
葵「では…参りますっ」
と言いつつ柔軟を開始…
むぎゅっ
勝太「ぎゃっ！？」
葵「あ、ちょっと強かったですか？」
そ、そ、そういうんじゃなくて胸！胸当てすぎですって！！！
葵「では、もっと強くします？」
勝太「あ、いや…じゃあ弱くして下さい…」
葵「分かりましたっ」
全く…神無月さんは天然すぎて俺を男と見てないのではないのだろうか…
勝太「じゃ、じゃあ今度は俺が押しますね」
葵「はい、宜しくお願いします。」
勝太「では、まずはゆっくり…」
葵「うぅ…痛いですぅ～…」
神無月さんは本当に体固いのなぁ…前方に柔らかい物体があるせいだろうか…
勝太「も、もう少し弱くします？」
葵「い、いえ…この位はいつもの事ですし…あうぅぅ…」
クルミ「ちょっと勝太！葵お姉様に何してんのよ！！」
勝太「えっ！？柔軟してただけなんですけど…」
クルミ「そ、そういう事じゃないわよ！な、なんというか…く、くっつき過ぎじゃないのって事！！」
勝太「だ、だって柔軟ってそういうもんじゃないの！？俺だってギリギリまでくっつかないように努力してるし…」
クルミ「うっさい！もっとお姉様から離れて柔軟しなさいっ！」
勝太「そんな無茶苦茶な…」
そんな波乱万丈な体育だった。
まさか、こんな日常のどこかで妙な動きがあるとは知らずに…。

ー　某　秘密基地地下本部　ー

１枚の写真を提示する黒服の男。
男「…この少年の身柄を確保するのが君たちの依頼だ。君達は我々ブラックオークション残党の初の作戦に協力してもらおう。」
サロメ「ふーん…この制服、チェリーヌ学院の生徒っしょ？」
アレキサンダー「そうっすね！まぁ俺とサロメ様にかかればこんな仕事楽勝っすよ！」
男「…だといいのだが…」
サロメ「邪魔が入ると？」
男「…確定情報ではないが、この少年にはかなりの警護があるらしい。まぁ君たちなら大丈夫かと思うが…」
アレキサンダー「任せといて下さいよ！ねっ！サロメ様！」
サロメ「まぁ私たちの活躍を遠くから見てるっしょ！！」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　NEXT…