Notes

2012年1月

快盗天使ツインエンジェルSS 第２章 [明かされる真実]

俺はすぐに生徒会室へ向かった。その途中、
勝太「うわっ…と！」
角を曲がろうとした時に誰かとすれ違ってぶつかりかけた。
？？？「…危なかった。」
？？？「…あら？誰かと思えば橘さんじゃないですか。」
勝太「すみません…えっと確か、テスラさんにナインさんですよね？」
テスラ「えぇ。こちらからは自己紹介してなかったと思いますが…覚えて貰えていたのは正直嬉しいです」
ナイン「…ちょっと感動。自己紹介、大事。」
勝太「いえいえ。顔と名前を覚えるのは慣れてるんで。」
双子姉妹のテスラ・ヴァイオレットさんと妹のナインさん。同じ１年椿組のクラスメイトだ。
二人とも美人でクラスでもかなり人気もある。水無月さん達とはかなりの仲らしい。
俺も水無月さん達みたく友達になりたい位だ。
ナイン「…勝太、急いでるみたい。何かあった？」
勝太「えっ！？な、何故いきなり名前…？」
テスラ「あぁ、多分遙さん達にそう呼んで大丈夫って言われたのを思い出しました。なっちゃん、あなたを何て呼べばいいかって聞いてましたし。」
ナイン「遙に許可、貰った。勝太、優しいからって。」
水無月さん達、恐るべし。知らない間に友人が増えているとは…
勝太「成る程。まぁ別に呼び捨てでも気にしないんで大丈夫かな。じゃあこれからまたよろしくテスラさん。ナインさん。」
テスラ「えぇ、宜しくお願いしますね。勝太さん。」
ナイン「…よろしく。」
勝太「あ、でもこれから生徒会室に向かうからまたお話は後日改めてって事で良いかな？」
テスラ「あ、それで今急いでいたんですか？すみません、足止めしてしまって…」
勝太「謝られるほどの事じゃないって。こっちこそ話せる機会だったのに…悪い。」
ナイン「問題、ない。また教室で、会える。」
テスラ「そうですよ。私達、クラスメイトなんですから。」
勝太「そうだね。…じゃあ悪いけど急ぐんでっ！」
と言ってテスラさん達に別れを告げ、生徒会室に向かっていった。
テスラ「あ、でもゆっくり行かないと私達みたいにぶつかりますよー…って聞こえてないですよね…」
ナイン「勝太、意外と遙に似てる…のかも。」
テスラ「そうですねっ。ふふっ。」

そして生徒会室前。ここに来るのはもう１ヶ月前だろうか…
思えば、ここが自分と先輩の出会いの唯一の場所だったかもしれない。
勝太「…失礼します。」
俺はノックをして生徒会室に入った。
唯一「お、約束通り来たな。いきなり呼び出して悪い。」
勝太「いえいえ。それに俺は約束を反故にするような人じゃないっすよ。」
唯一「ははっ、それもそうだな。」
そういって先輩は俺にソファーに座るように仕向けた。
唯一「まぁ若干長い話になるから、お茶でも出そう。冷たいのと温かいのはどうする？」
勝太「あ、じゃあ冷たいので…」
唯一「了解した。」
そう言って先輩は冷たい緑茶を出してくれた。
勝太「ありがとうございます。…で、先輩。話とは一体何でしょうか？」
と俺が切り出すと、先輩はまた少し真面目な表情になった。
唯一「…正直、この話をいきなり言って君がどう反応するかは分からない。しかし、この話は俺には正直とても重要な話なんだ。…俺の勝手な言い分だが、この話は全て本当だと信じて欲しい。そんな気持ちで聞いてくれ。」
勝太「あ、はい…つまり、かなり深刻な話なのでしょうか…？」
唯一「…まずはこれを見てくれ。」
と言うと自動的にカーテンが閉まり、上からスクリーンが下りてくる。何かの映像か…？
俺が生徒会のPVに出て欲しい。とかなら凄い嬉しいのだが…
勝太「えっ！？こ、これは最近ニュースになったブラックファンドのビル火災事件ですよね…？」
唯一「そうだ。君の言う通り、つい最近起こったブラックファンドのビル火災時に１年の新聞やよいが撮った映像だ。そして、この部分を見て欲しい。」
と言って動画が一旦停止し、一部分がアップになり、明らかになる。
勝太「あっ！こ、これ確か…正義の味方『ツインエンジェル』…！？」
唯一「そう。これはその火災時に撤退して行くツインエンジェルが偶然撮れた映像だ。…で、橘。このぼやけてはいるが、この顔…見覚えはあるか？」
と言ってまた更にアップになる画像。と言われても本当にぼやけてハッキリと分かるのは赤いスーツに身を纏った女の子って位しか…
勝太「……ん？」
だがぼやけている顔にある一人の人物の顔が若干浮かび上がる。
勝太「…あ、あぁぁぁ！！こ、これまさか…水無月、さん…！？」
そうだ！この髪型…間違いない！で、でもどうして水無月さんが…！？
唯一「…やはり君には分かるのだな。このぼやけた画像からでも、水無月という一つの人物に辿り着くことが…」
勝太「えっ？で、でもこれはどう見ても水無月さんでは…？」
唯一「いや、ツインエンジェルは顔を見られても人物が特定出来ないようになっているらしい。…だから、普通の人間には特定は極めて難しい。」
勝太「うぇっ！？…つまりどういう…？」
唯一「…やはり、君にしか頼めない用事のようだ。とりあえず、お茶でも飲んで落ち着きたまえ。」
勝太「あ、は、はい…」
確かに今の俺は動揺と興奮が同時に来ていて良く分からない状態だ。
水無月さんがツインエンジェルの一人…？そして、それが分かる俺は普通じゃない…と？
全く持っていきなり過ぎて確かに信じ難い話だ。
だが先輩がそんな嘘をついたり冗談で言うような人ではないし。
それに…あの表情。間違いなくこれは真実なのだろう。
唯一「多分いきなりで混乱するとは思うが若干時間も無いのでな…すまないが、次からが本題だ。聞いて、貰えるか？」
…確かに聞くのは俺の自由みたいだし、ここで断るのが普通なのかもしれない。でも…
勝太「…分かりました。俺で…こんな俺で良ければ、聞きます。いえ、聞かせて下さい。」
唯一「…すまない。では、話そう。この学院の秘密と、『ツインエンジェル』について。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　NEXT…