Notes

GAME SET

白熱したからか、喉を鳴らしながらお茶を飲みつつ、色の違う2つの目で隣の女の子を睨む。
「むー、ざんちゃん強い！」

そんな睨みを意に介さず、左前髪の赤いメッシュを弄りながら余裕そうに返す。
「違うよ、ごぉちゃんが弱いんですよ」

二人は大体同じ時期にツイッターを初めた縁からか仲良くなり、度々オフでゲームを遊ぶ仲だった。
「次は勝つよ？」
「いいですよ、また負けてごぉちゃんがめ〜って鳴くだけだと思うけど」
「そんなことないっ、次勝ったら、ざんちゃんにごぉのが強いって認めさせるからね」
「へぇ〜、なら不公平だし、私が勝ったら一つ簡単な命令しますね」
「ごぉ、これでもアイドル目指してるんだから……あんまり過激なのはだめ…だよ？」
「何かしら禁止するだけだから、体を傷つけるとかそういうのじゃないから大丈夫ですよ」
「なら、いいけど。って、ごぉが勝つから関係ないし！」
本気を出す！と意気込んで、ごぉとおは残っているお茶をグイッと飲み干してコントローラーを強く握りしめる。


GAME SET

「また負けちゃった…」
「じゃあ、早速命令するよ」
「何するの？」
「今から私に勝つまでトイレに行くことを禁止しますね」
「えっ？」
「だから、トイレに行くことを禁止する。それだけですよ」
「はぁー！？なんなの？変態かよ、しね！」
「ごぉちゃんが勝てば良いだけだよ。」
先程までゲームに熱中していたから意識をしていなかったごぉとおだが、予想外の命令による焦りと、先程まで飲んでいたお茶とで、急激に尿意を催し始める。
座り直して、悟られまいと声を張る。
「と、とにかく、勝てば良いだけでしょ。ほら、早くやるよ！」
「そうですね、勝てば良いだけです」

しかし、先程まで勝てなかったごぉとおが、尿意を我慢しながらの戦いで勝てるわけはなく、時間だけが過ぎていく……

「ねぇ、ざんちゃん。まじで限界だから、このままだと漏れる。まじで漏れる！トイレ行かせて！」
「ダメです、命令なんですから」
「本気で言ってるの？ざんちゃんの部屋が汚れるよ？早くぅ！！」
ごぉとおは恥もプライドも投げ捨て、両手で股を抑えながら涙目で訴えかけるが、ざんぎえふは部屋のドアの前で目の前の光景をただただ見ていた。
「んぅうう〜〜、ん〜〜」
言葉を発する余裕もなくなり、呻きながら脚を擦り合わせる様は、怒りと恥ずかしさに赤く上気した顔と合わさり、とても扇情的だった。
「ぁ…、」
もう限界だったのだ、溜め込み続けることは出来ない。
脚を伝い水が零れる。一度決壊してしまえばもう留まることをしらない。力なくざんぎえふの腕に掴まり、目を瞑るしか出来なかった。
「やだぁ、やだぁ……見ないで、お願い…ゃぁ、ぃゃ……
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
水音に消え入りそうな声で、誰に向けたでもない謝罪をし続ける。
そして、音が小さくなるのに合わせて、腕を掴んでいた手も力が入らなくなり、パチャッと音を立てて座り込んでしまった。部屋にはごぉとおの啜り泣く声しか聞こえなくなった。
「なんで、なんでこんなことするの……ざんちゃん、そんな趣味ないと思ったのに」
「ちょっと試したくなって、ごぉちゃんの反応が思いの外嗜虐心くすぐられちゃって、ごめんね。さ、お風呂行こう？洗ってあげるから」
「うん……こういうの、あまり好きじゃないから、次からやめてね？あと、今日は帰るのやめた、いっぱい甘やかしてくれなきゃやだ！」